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「卵巣腫瘍の茎捻転」

主に月経がある女性に卵巣腫瘍があると、腫瘍がねじれて激しい腹痛を起こします。他の病気とも間違えられることも少なくありません。


茎捻転について
卵巣は、子宮との間、骨盤との間の2つの靭帯(じんたい、紐のようなもの)で支えられています
これらの靭帯は、卵巣を支えるだけでなく、その中に血管や神経が通る道となっています
卵巣に腫瘍ができると、重くなります
その重さで靭帯が延びます。丁度ブランコの紐のような状態になります
全体がねじれることがあるのです。ブランコの台がねじれるのと同じです
これを「卵巣腫瘍の茎捻転」といいます
卵巣の腫瘍が5〜6cm以上になると起こしやすいとされています。茎捻転を起こした80%前後が5〜15cmの大きさです
5cm以下のときでも起こりえます
大きすぎると起こりにくいとされています
ねじれが180度(半回転)以上になると、血管が圧迫されて血液の循環が滞り、卵巣に血液が溜まります
長引くと卵巣腫瘍が炎症を起こし、痛みや熱が出ます。さらに出血、化膿を起こします
症状としては、急激に起こる下腹部の激痛、発熱、吐き気、嘔吐などです
卵巣腫瘍の約10%に起こるとされています
とくに皮様嚢腫で起こりやすい(茎捻転の40〜65%)とされています
正常卵巣でも茎捻転を起こすことがあります(茎捻転の5%程度)
悪性卵巣腫瘍(卵巣ガン)では起こりにくいとされています。それは卵巣ガンだと周りと癒着しやすいからだといわれています
右側が多いとされています(右側:左側=2:1)。その理由は左側には直腸があり回転しにくいのではと推測されています
妊娠や分娩後に卵巣腫瘍の茎捻転がより起こりやすいともいわれています
わが国の記録では生後4ヵ月でも起こり、最高齢85歳とされています
茎捻転を起こした70〜80%は20歳代〜40歳代でした。
その理由は、この世代が@性的にも活動的で、A皮様嚢腫が多い、からだとされています
茎捻転の時間経過とともに卵巣自体の変化が進みます
       12時間  卵巣に浮腫(水分の貯留)、この時点では
                              卵巣内出血はない
       24時間  浮腫が強くなり、卵巣内出血も見られる
       36時間  卵巣の変性が強くなる

症状
1、 自覚症状として
  突然激しい腹痛を感じるのがほとんどです
  以前にも腹痛を感じていたことがあるのは30%程度あります
  吐き気・嘔吐は50%前後あるので、腸などの消化器の病気と間違える元になります
  5%程度に不正性器出血がみられます。その理由として卵巣が茎捻転すると卵巣のホルモン、とくに黄体ホルモンの分泌が変調をきたすと考えられています
2、 他覚症状
  内診や超音波検査で腫瘤がみられます
  押さえると痛い(圧痛)があります
  37℃台の発熱が、35〜50%にみられ、血液中の白血球の増加も同じ程度みられます
3、 鑑別すべき病気
  卵巣腫瘍の茎捻転であるのに、卵巣嚢腫が破裂したとの診断が最も多いです
  急性虫垂炎と診断されることも少なくありません

治療
手術が唯一の治療法です
70%程度は緊急手術として行われます
手術は、(1)腫瘍だけを摘出、(2)卵巣と卵管を摘出、のどちらかです
どちらの手術になるかは、年齢・腫瘍の性質(悪性か良性)、発症後の時間(36時間)卵巣への血液循環の状態、などにより手術時に決められます
今までの統計では、70〜85%は卵巣と卵管を摘出術です

【2011年6月更新】

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