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「甲状腺と月経」

甲状腺の異常は男性よりも女性によくみられます。月経不順など卵巣の働きにも影響します。


甲状腺とは
甲状腺は首の前ののど仏の下にあって柔らかく触っても分りません。
甲状腺からはホルモンが出ています。
甲状腺ホルモンは、発育や成長に欠かすことができず、全身(脳、心臓、消化官、骨、筋肉、皮膚、その他)の新陳代謝を活発にする働きがあり、精神神経や身体の活動の調整にも働く大事なホルモンです。
つまり食物に含まれる各種の栄養素がうまく体内で利用されるように働きます。
 
甲状腺の働きが異常だと
甲状腺ホルモンは身体の基本的な働きを維持してくれているのですから、働きが異常になるとさまざまな症状が現れるのは当然です。
働きが悪くなると
新陳代謝が低下するので、身体のいろんな部位の動きが悪くなり、いわば「眠っているような状態」になります。主な症状として、寒がり、便秘、皮膚がかさかさする、むくむ、髪の毛が抜ける、食べていないのに太る、脈が遅くなる、頭の回転がわるくなる、子供では身長が伸びない、などです。他に卵巣の働きも低下します。
働きが良すぎると
逆に新陳代謝が良すぎて、疲れやすい、動悸がする、汗をかきやすい、手が震える、食べるのにやせる、暑さに弱い、などの症状が出ます。いわば「マラソンをしている状態」になります。
 
卵巣の働きには
甲状腺ホルモンや甲状腺の機能の異常は、卵巣の機能や月経に影響することが分っています。とくに思春期前や思春期に入りかけている女性の卵巣機能には影響します。

*甲状腺機能低下症の場合

(1) 甲状腺機能が低下すると、甲状腺をもっと働かせようと脳からの刺激(命令)が強くなります
(2) その刺激の元は、脳の中心部(詳しくは視床下部)にあり、そこから甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンというややこしい名前のホルモンが出ます。これは甲状腺を刺激するためのホルモンである甲状腺刺激ホルモンを出させるホルモンです
(3) この甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンは、プロラクチンという乳汁分泌をする別のホルモンを出す作用があります
(4) つまり甲状腺の機能が低下すると、乳汁分泌をさせるホルモンが出ることになるのです。乳汁が出るときには、お産の後のように月経はないか、不順になるのです
(5) したがって甲状腺の機能が低下すると、乳汁がでる、月経不順・月経がなくなる、ことが起こるのです。そのために無治療だと妊娠しにくくなります
(6) もし初潮前に甲状腺機能低下症になっていれば、初潮が遅くなる、性の成熟が遅れる、ことになるのです
(7) 甲状腺の薬(たとえばチラージンSなど)を飲んで甲状腺の働きを正常にすれば、プロラクチンという乳汁分泌ホルモンも正常になり、初潮は正常に来て、月経不順、無月経、不妊も治ります
(8) ターナー症候群、ダウン症候群などの染色体異常がある女性では甲状腺機能低下症を合併する率が高いです
(9) 月経前症候群の一部の症状と甲状腺機能低下症の症状とは良く似ています。
たとえば気分の変化、いらいら、うつ傾向、便秘、倦怠感、などがあります。
これらの症状が甲状腺機能低下症によるのであれば、月経周期に関係なく起こっているはずですが、月経前症候群では月経前10〜2日前のみで、月経直後には全く見られないので鑑別できます
 
*甲状腺機能亢進症
甲状腺の機能が低下するとはっきりと卵巣の機能は悪くなるのですが、逆に甲状腺の機能が良すぎると(甲状腺機能亢進症)、卵巣の機能は、悪くなる場合もあり、逆によくなる場合もあるのです。
つまり甲状腺機能亢進症による卵巣機能への影響は一定しておらず、影響の理屈がまだはっきりしていないのです。
(1) 通常月経量が少なくなり、月経周期が長くなり無月経になることもあります
(2) 思春期以前に甲状腺機能亢進症が起こると、初潮の遅れに結びつくことがいちばん多いのです
(3) 思春期早期に甲状腺機能亢進症が起こる場合は、最初の月経が早く始まることがあります。甲状腺機能亢進症や早発思春期が組み合わさったマッキューン・アルブライト症候群(骨、卵巣、甲状腺などの異常)と呼ばれるまれな病気があります
(4) 甲状腺の働きを調節する薬で甲状腺の働きが正常になれば、月経不順などは正常に戻ることが普通です
 
月経不順があれば
月経不順、無月経や不妊などの女性ホルモンの異常があれば、一度は甲状腺の検査(血液)をする方がよいでしょう。甲状腺の異常による月経異常は、甲状腺の働きを正常にもどす薬を飲めば月経異常は通常治ります
 
【2007年5月更新】


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