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「ターナー症候群」

少し難しい名前の特殊な病気です。誰の責任でもないのですが、本人や親は大変なのです。一生の大問題なのです。


ターナー症候群の最大の特徴
ターナー症候群の女性(以下ターナー女性といいます)には「背が低い」「二次性徴(女の子が女性らしくなること)がない」の二つが最大の特徴があるのです。この二つは女性の長い人生にとってつらい症状となるのです。その他にもあとで説明するようにいくつかの症状があります。
 
成長について
身長が低いのです。
生まれたときの身長は、ターナー症候群では平均47センチ、そうでない女の赤ちゃんは平均49センチで、約2センチ低いのです
3歳頃から徐々に身長の伸びが鈍くなり、一般女性と差が開きます
成長ホルモンによる治療をしなければ最終身長は、平均139センチです
身長を伸ばすには、成長ホルモン剤による治療が有効です
体重について
生まれたときの体重は、平均2.7キロで、そうでない一般の女の子の平均3.0キロより少し軽いです
その後成長するにつれて一般女性との差は開きますが、身長ほどではないのです
身長に差があり、体重にそれほど差がないということは、肥満した体格なのです
 
二次性徴について
乳房が発育する、陰毛がはえる、月経がある、などの「女性らしさ」である二次性徴がないのが特徴の一つです。それは次の項で述べるターナー症候群の本態にかかわるのです。でも染色体の異常の程度やタイプによっては、全く二次性徴がない場合、少しはある場合(初潮があることもある、約20%)、初潮がありその後の月経もあり妊娠する場合(極めてまれ)、などのさまざまな程度があります。
 
その他の特徴
すでに述べた症状以外の身体の特徴をまとめました。
(1) 翼状頚
首の周りに皮膚のたるみがみられるものです。生活上問題はあ りません。ターナー女性の約30%にみられます。
(2) ほくろ
全体に多いのですが、悪性になる心配はないのです。
(3) 外反肘
両手を軽く下げて手のひらを前に向けた場合、肘から下が身体から離れて外に向く症状で、ターナー女性の50〜80%にみられますが、一般女性にもみられます。治療の必要はないのです。
(4) リンパ浮腫
新生児期に手や足の甲にむくみがあればターナー女性である可能性が考えられます。特別な障害が出るわけではありません。
 
合併症について
ターナー女性には、生まれつきではなくても、一生のうちでいつかの時期に普通の女性に比べてよく出る症状があります。
(5) 中耳炎・難聴
ターナー女性の80%に耳の病気がみられるのです。子どもの時に最も注意するべき合併症なのです。もともと中耳炎になりやすく、繰り返しているうちに難聴になるとされています。小さいときから耳鼻科に定期的に受診して早めに中耳炎を治すことです。
(6) 骨粗しょう症
ターナー女性では女性ホルモンが出ていない閉経後の女性と同じ状態ですから骨粗しょう症になる確率はきわめて高いのです。女性ホルモン剤、成長ホルモン剤などの治療により骨塩量は増加させることはできるのです。
(7) 糖尿病
ターナー女性では体重が多く、肥満による合併症もみられ、糖尿病もその一つで、25%程度に合併するとされています。体重が増えないようにコントロールすることです。
(8) 甲状腺の病気
甲状腺の病気のなかでも橋本病という慢性甲状腺炎がみられ、症状が今はなくても将来甲状腺機能低下による症状が出ることがあるのです。20〜30%に合併するとされています。甲状腺の定期的な検査も必要です。
(9) 高血圧
ターナー女性では、腎臓の異常による高血圧に加えて、肥満による高血圧の要素もあるので、高血圧のリスクは約3倍に増大するそうです。血圧も定期的にチェックする必要があります。
(10) 高脂血症
高コレステロール血症が高頻度にみられます。 動脈硬化にもなりやすく日常生活上の運動・食事が大事です。
(11) 大動脈
心臓から血液はまず大動脈を通り全身にいきますが、ターナー女性では大動脈縮窄症などの奇形が30%にみられ、大動脈破裂が起こり突然死になることも少なくないのです。
(12) 妊娠・出産
自然妊娠率は極めて低く、たとえ妊娠しても流産・死産・染色体異常や先天性異常が多いことが報告されています。
 
チェック項目
上のようにターナー女性ではいろいろな合併症などがあるので、成人になっても以下のチェックが必要です。
1 血圧
2 血液中のコレステロール、血糖
3 甲状腺機能とくに抗甲状腺抗体(1年に1回)
4 骨塩量(3〜5年に1回)
5 聴力検査(3〜5年に1回)
6 心エコー検査(3〜5年に1回)
 
ターナー症候群の本態
ターナー女性の本態は、染色体、とくに性染色体の異常なのです。
ヒトには染色体が23対、46本あり、そのうちの1対、2本は性染色体で、男性と女性では違うのです。男性では 1 本がX染色体、もう1本はY染色体ですが、女性では2本ともX染色体なのです。女性の 2 本目のX染色体には卵巣の働きを司る部分があります。
このX染色体の欠如により、卵巣が早い時期に萎縮するのです。一般女性では閉経するのが平均50歳ですから、その頃に卵巣が萎縮するのですが、ターナー女性では胎児の時期や新生児の1歳までに卵巣が萎縮して機能がなくなってしまうのです。いわば胎児や生まれてすぐに閉経してしまいますので、女性ホルモンが全く出なくなるのです。
この2本目のX染色体の全体の欠如により典型的な症状がでますし、部分的な欠如により典型的でない症状が現れるのです。さらに複雑なことは正常な性染色体と異常な性染色体が混じっていること(女性)もあるのです。そのX染色体の異常の程度に応じて卵巣の働き方にも程度に差があるのです。一度も月経がない場合、初潮はあるがすぐになくなってしまう場合、初潮もその後の月経もあり妊娠する場合、などさまざまです。
 
診断は
早期診断が重要であるのは他の病気も同じですが、ポイントがあるのです。低身長、手の甲にみられるリンパ浮腫、翼状頚、外反肘、思春期の二次性徴の遅れ、を中心として一つでもあれば、専門医を受診するか血液検査による染色体検査を受けることを考えても良いくらいです。
 
治療は
根本的な染色体の治療はできないのですから、今出ている症状、将来出る可能性のある症状を防ぐことしかないのです。
*-- まず第一は低身長を治す、未然に防ぐことです。それには成長ホルモン剤と女性ホルモン剤があります。成長ホルモン剤については小児科の専門の医師にご相談下さい。
*-- 女性ホルモン剤による治療は(1)女性らしい身体つきを作る、(2)骨塩量を保つ、(3)そのほかの女性ホルモンの欠乏による症状を防ぐために行うのです。年齢、骨年齢、身長、骨密度などから個々に判断されます。思春期では少量のエストロゲンから始めますが、成人では通常の周期的なホルモン補充療法を行います。
*-- その他の異常は、症状の程度に応じて対応しましょう。
 
(単行本「ターナー女性―本人と家族のために」、ターナー女性を支える医師の会著、メディカルレビュー社、1996年6月発行を参考にしました)
 
 
 
【2005年12月更新】


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