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「原発無月経」

月経があってもいやなものですが、初経(初潮)がなかなか来ないと気になります。いつまで待てばいいのでしょうか。


原発無月経とは?
まず無月経とは、月経が3ヵ月以上無いことです。この中でも生まれてから18歳になっても一度も月経がない、つまり18歳になっても初経(初潮)がない場合を「原発無月経」といい、一度以上は月経があったにもかかわらず月経が3ヵ月以上ない場合を「続発無月経」と呼ばれています。ちなみに16歳までに初経がない場合を「遅発月経」と呼んでいます。
この遅発月経の中に原発無月経も含まれていることになります。
 
どれくらい多いのですか?
正確なデータはありませんが、16歳までに初経(初潮)がない遅発月経の女性は約100人に1人、18歳までに初経がない原発無月経の女性はおおよそ1,000人に1人の割合だと推定されています。
 
原因は?
月経が起こるためには、脳の中枢、卵巣、子宮や膣など全てが形態的にも機能的の正常でないといけません。このうちの一箇所でも異常であれば月経は起こらないのです。原発無月経では、これらのうちのどれかに決定的な異常が存在するのです。
卵巣の異常
全体の40%と原発無月経の原因として最も多い。なかでも染色体異常が多い。染色体異常がない場合は、卵巣形成不全や卵巣の機能異常があります
脳の中枢の異常
先天的に脳中枢異常があるのか、出生時の障害なのか、脳腫瘍、原因不明など多岐にわたる 
子宮や膣の異常
先天的に子宮や膣の発生異常がある。卵巣は正常なので第二次性徴は正常である
その他
体質性の月経遅発症、甲状腺機能異常、神経性食思不振症など
 
卵巣の異常
卵巣が原因で月経が生まれてから一度も始まらない場合には、
(1) 生まれつき卵巣がない
(2) 卵巣はあっても卵巣の中に卵がほとんどない
(3) 卵はあっても脳中枢からのホルモン指令に反応しない
の3通りが考えられます。最も多いのは(1)で、その原因に染色体の異常が多いのです。
染色体は46あり、そのうち2本は性染色体です。なかでも「2本目のX染色体」は卵巣の働きと重要な関係があるのです。この染色体がなければ、卵巣もなく、月経もないのです。この染色体がたとえあっても一部が欠けていれば、欠けている部位や程度によって卵巣の機能がさまざまに障害を受けるのです。

正常女性: 46XX
  ですが、 卵巣に異常をきたす性染色体の異常としては
ターナー症候群: 45X (子宮はありますが卵巣がありません)
精巣性女性化症: 46XY(精巣があり卵巣がないですが、女性の体型)
が代表的です。このうちターナー症候群が約70%、精巣性女性化症は約20%を占めています。
 
脳中枢の異常
原発無月経の4分の1を占める脳中枢の異常によるものには、
脳中枢障害が
(1) 先天的にある 嗅覚障害もあることも(Kallmann症候群)
(2) 出生時に受けた 骨盤位で出生すると高率に中枢性月経異常が多い
(3) 後天的に受けた 脳腫瘍、交通事故など
が考えられます。それぞれの女性により原因が異なるはずです。
 
子宮・卵巣の異常
染色体には異常がなく、卵巣もあり女性ホルモンが分泌されており、体型も女性であるにもかかわらず、子宮や膣のでき方(発生)が異常な場合があります。たとえば
(1) 子宮も膣もない
(2) 子宮はあるが、膣の全部か一部がない
場合が約5,000例に1例の確率でありえるのです。このような例では泌尿器科系の異常を合併する(15〜40%)、骨の異常を合併する(5〜10%)こともあるのです。
 
その他の原因
いろいろな原因が考えられますが、たとえば
(1) 体質的に初経の来るのが遅いこともありますので、検査して異常がなければもう少し様子をみる必要があるでしょう。
(2) 初経発来前に、過激な運動をしている(たとえばバレリーナなど)、ダイエットをした、場合も初経の発来が遅い場合があります。
(3) 全身的な病気、たとえば甲状腺機能低下症、白血病など、がある場合にも初経が遅れることも少なくないです。
 
診断は?
原発無月経の場合には、内診、超音波検査、染色体検査(採血による)、性ホルモン検査、基礎体温測定が必須で、時にはMRI(脳、骨盤)検査、泌尿器科系検査も追加されることもあります。
 
治療は?
原因にもよりますが、先天的なものは根治治療が難しく、対症療法的にホルモン補充療法が行われます。詳細は他に譲ります。
 
【2005年2月更新】


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