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静脈血栓症


閉経後の女性にホルモン補充療法(HRT)をすると深部静脈血栓塞栓症(以下静脈血栓症と略します)の発生のリスクが増えるといわれています。


HRTで静脈血栓症が増えるのはなぜ?
その理由はエストロゲン剤が、血液の凝固を促進し、静脈血管内に血栓ができやすくなるのです。
どんなエストロゲン剤でも?
このたびフランスでの研究(Lancet,362;428,2003)から、同じエストロゲン剤でも経口剤(飲み薬)と貼り薬では、静脈血栓症の発生のリスクが違うことが明らかになりました。
静脈血栓症の発生するリスクは、薬を使用しない女性に比べて、 エストロゲンの内服薬(飲み薬)使用者では3.5倍 貼り薬使用者では0.9倍 でした。
つまり内服薬での治療によりリスクは高くなりますが、貼り薬では使用してもリスクは増えないということになります。
内服薬でのリスクは貼り薬の4倍(=3.5÷0.9)にもなります。
 

その理由は?
理由は次のように考えられています。エストロゲン剤を飲めば胃や腸から薬が吸収され、すぐに肝臓に到達します。肝臓内ではエストロゲンの濃度が高くなり、これが肝臓内の凝固線溶系因子(血液を固まらせたり、溶かしたりする物質)に影響を与えるのです。一方貼り薬では、皮膚から吸収されたホルモンは心臓を経由して全身に回りますが、その一部が肝臓に到達します。したがって吸収されたホルモンのごく一部しか肝臓に到達しませんから凝固線溶系に影響を与えることが少ないのです。この差が静脈血栓症の発生リスクに表れているのだと推測されています。

 

日本人に多いの?
しかし日本女性の静脈血栓症の発生頻度は欧米人に比べてもともと多くないのですから、全体としてそれほど心配は要らないにしても、できるだけ安全な薬を使う方がいいに決まっています。最近では貼り薬の利用者が増えています。

 
発生率
ではHRTでどれだけの静脈血栓症が発生しているのでしょうか。
今までの報告をまとめると、
(1) ホルモン補充療法をした場合は、しない場合の2〜5倍である
(2) なかでもホルモン補充療法の最初の6ヵ月が4〜8倍と高い
(3) この率から推測するに、10,000人にホルモン補充療法を行えば、行わない10、000人に比べて1〜2人多く発生することになります
 
【2004年6月更新、2008年2月追加】
 



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