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HRTの心血管への予防効果


女性ホルモン補充療法( HRT )は、脂質代謝や血管に良い方に作用して心血管疾患のリスクを下げると最近まで考えられていました。ところが2002年7月に米国で発表されて話題になった「中間解析」で HRT の害が利益を上回る恐れがあるために早期中断された臨床試験の「最終結果」が発表され、 HRT には心血管疾患に予防効果がないことが分かりました( New Eng J Med 349 ; 523,2003) 。概要は以下のとおりです。

1、

50−79歳のアメリカ女性 1.6 万人を対象に実施された。

2、 女性ホルモン剤(プレマリンと黄体ホルモン剤プロベラの同時併用療法のみ)による平均5年余の治療が心臓冠動脈疾患の発症予防効果があるかをみる目的で行われました。
3、

その結果 HRT は、心臓冠動脈疾患の予防効果がないことが確認された。

4、

このホルモン治療は、投与開始 1 年では、脂質代謝は心血管系疾患のリスクを下げる方向に推移していたが、実際には冠動脈疾患のリスクはむしろ増加した。

5、

体重が少ない女性でもリスクは同じであった。

6、 閉経後年数が経っている程発生リスクが高い。


ここで示されているのはあくまでもホルモン剤を飲まない女性との相対的なリスクの上昇であって、絶対的な(数の上で多くなく)リスクは小さなもの(アメリカ人で0.3−0.4%、日本人ではこれの10−20分の1と推定されています)であります。それでもリスクが増えるのは事実でありますので、 HRT を行う上では治療による利益とのバランスを良く考えて選択する必要があるといえます。

ただしこれはあくまでも「ホルモン治療が心血管疾患の予防できるかを目的」とした場合であって、他の治療たとえば更年期障害、骨粗しょう症などを目的とした場合は別です。またこの治験では子宮のある女性にプレマリンと黄体ホルモン剤(プロベラ)を投与した成績では、子宮のない女性にプレマリンのみを投与してもこのような結果は得られていません。黄体ホルモンが問題なのでしょうか?

 
【2004年4月更新】
 



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