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「放射線と先天異常」

妊娠中にX線検査やCT検査を受けると胎児にどのような影響があるのでしょうか。知らずに検査を受けたときはどうすればよいのでしょうか。

 
どんな影響が
妊娠中にX線検査やCT検査を受けると放射線を浴びます。
浴びた放射線は胎児の発育に影響を与えます。
障害の内容は放射線を浴びる時期と量により違います。
障害の主なものは、


(1)

胎児死亡

----- 受精卵が子宮に着床する前後からどの時期にも起こります
(2) 奇形 ----- 胎児の主な臓器・器官ができる時期に浴びると起こります
(1)

発育遅延

----- 奇形がなく、子宮内で発育するすべての期間に起こります
の3種類です。
 
時期により違います
放射線を浴びる時期により障害の内容つまり流産・奇形・発育遅延・精神遅滞や程度が違います。
障害の内容
被爆した時期
名称
着床前期
器官形成期
胎児期
着床からの期間
0〜9日
2〜8週
8〜15週
15週以降
妊娠週数
2〜3週
4〜10週
10〜17週
17週以降
流産  
+++
奇形  
+++
発育遅延  
精神遅滞  
+++
(+)(−)
遺伝的影響  
(* (+);妊娠週数17〜27週、(−);妊娠週数27週以降)
 
(1)妊娠ごく初期
ここでは排卵から次の予定月経までの間のことです
この時期にある一定以上の放射線を浴びると、流産が起こりますが、胎児の奇形や発育遅延は起こりません
この時期に放射線を浴びると、
(1) 受精卵(胚)が死亡すると吸収され、ほぼ通常と同じ月経のような出血があります
(2) 受精卵(胚)が生存すると正常に発育・成長します
逆に考えると、妊娠が継続できれば放射線の影響はなく、妊娠をそのまま続けてよいわけです

(2)妊娠初期
ここでは予定月経のころから妊娠10週ころまでのことです
この時期には胎児の大事な臓器・器官ができます
この時期にある一定以上の放射線を浴びると、
(1) 中枢神経系の異常、たとえば小頭症が起こり(しきい値は100mGy異常です)、それ以外の奇形は非常にまれです。
(2) 肝、腎、造血系、卵巣・精巣の発育障害が起こります
(3) 悪性腫瘍、たとえば白血病、甲状腺ガン、乳ガン、肺ガン、骨腫瘍、皮膚ガンなどが起こります
(4) 40歳以上になってからの成人ガンが多々発生するとされています

(3)妊娠初期から妊娠中期
ここでは妊娠10週ころから17週ころまでのことです
この時期に放射線を浴びると、
(1) 精神遅滞、IQの低下が起こります。とくに脳皮質が作られる時期では最も危険率が高いです
(2) 妊娠初期と同じように悪性腫瘍が起こります

(4)妊娠中期以降
ここでは妊娠17週以降のことです
この時期に放射線を浴びると、
(1) 精神遅滞が起こりますが、妊娠初期に比べて軽いです。また妊娠27週以降に放射線を受けても精神遅滞は起こりません
(2) 悪性腫瘍が妊娠初期と同じように起こります
 
検査でどれくらいの放射線量
単純なレントゲン検査とCT検査では放射線量が違いますし、当然検査する部位によっても違います。おおよその目安は下の表のとおりですが、施設や器械などにより若干異なります。それ以上になると障害を発生させる値を「しきい値」と呼びますが、胎児の障害が発生するしきい値は、通常100ミリグレイ以上です。
検査方法
胎児が浴びる平均放射線量
(mGY、ミリグレイ)
単純撮影(通常の検査)(国際放射線防護委員会)
頭部
0.01以下
胸部
0.01以下
腹部
1.4
腰部
1.7
骨盤部
1.1
CT検査(国際放射線防護委員会)
頭部
0.005以下
胸部
0.06
腹部
8.0
腰部
2.4
骨盤部
25
胃腸検査*
注腸検査*
10
*一般的な値
注;しきい値(それ以上になると障害が発生させる値)は100ミリグレイ以上です
 
妊娠中に知らずに放射線を浴びれば
次のような多くのことを総合して決めるのですが、
『一般に妊娠の継続をあきらめるかどうかは、妊娠2〜25週で放射線量が100ミリグレイ以上』
のときです。

その参考となるのは、
(1) 妊娠週数の確認
(2) 胎児の被爆量の推定
(3) 先天異常の発生危険率の算定
(4) 妊婦における妊娠継続の害
(5) 今後の妊娠の可能性
(6) 今後の妊娠をどれくらい望むか
(7) 放射線障害についてどれくらい理解しているか
(8) 本人・家族の考え方
などです。
 
(日本産婦人科医会報、2004年2月号を参考にしました)
 
【2007年9月更新】
 

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