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淋病

最近増えている性感染症にクラミジアがありますが、もう一つ「淋菌感染」も一時減っていたのですが再び増えてきているのです。しかも最近の「淋菌感染」の特徴は、症状が少なくなっていること、薬に抵抗する淋菌が増えていること、咽頭感染が多くなっている、のです。よく知っておきましょう。
 
淋病とは?
淋病 gonorrhea は、グラム陰性球菌に属する淋菌 Neisseria gonorrhoeae によって起こる細菌感染症です。淋菌は乾燥、高温、低温に弱く、ヒトの体外では短時間しか生存できないのです。したがって、間接感染はなく、直接感染のみによって感染がおこるのです。感染の引き金は、淋菌が粘膜上皮にくっつき起こりますので、男性においては尿道、女性では子宮頸管、卵管などに感染しやすいのです。
 
潜伏期間は?
男性では3〜10日間ですが、女性においては自覚症状も乏しくよく分からないことが多いのです。
 
感染経路は?
1. 性交により男性淋菌性尿道炎が女性子宮頸管へ、逆に女性から男性へは淋菌性子宮頸管炎が男性尿道に感染する。
2. オーラルセックスにより男性淋菌性尿道炎が女性咽頭へ、あるいは逆に女性の淋菌性咽頭炎が男性尿道へ感染する。また淋菌性子宮頸管炎が男性咽頭へも感染する。
3. 肛門性交は淋菌性直腸炎を発症させうる。
4. 産道感染で子宮頸管の淋菌感染が児に感染すると、新生児結膜炎を発症させうるのです。その予防の多くははコンドームに頼らざるを得ないのですが、完全には予防できないのです。
淋疾に罹患した女性の10%から20%には咽頭に淋菌が存在します。男性の同性愛者では咽頭感染は10%から25%に存在します。
 
症状は?
女性の場合には感染しているのに症状がない不顕性あるいは無症候性感染が50〜70%と多いのです。

1. 淋菌性子宮頸管炎
    女性の淋菌の感染好発部位の最初は子宮頸管です。しかし、淋菌性子宮頸管炎では帯下(おりもの)が主症状であり、典型例では粘液性、膿性の分泌物が外子宮口付近に認められる。しかし、このような典型例は少なく、感染女性の多くは感染の自覚がないことがほとんどでなのです。自覚症状が無いために無治療のためにそのまま放置されることが多く、男性の淋菌感染症の感染源になることが多いので注意が必要です。

女性における淋病の特徴は、膣→子宮→卵管→骨盤内へと菌が進行して行き、最後は骨盤内で腹膜炎を起こすに至る可能性があることでしょう。淋病全体のおよそ10〜20%程度に骨盤内腹膜炎が発生するものと考えられています。このように至っても自覚症状が無い場合もありますが、約50%以上に発熱、下腹痛、卵管や卵巣の圧痛がみられるようになります。このよな卵管炎などは卵管狭窄や卵管閉鎖を引き起こすこともある。
さらにこの様な炎症によって卵管が周囲臓器と癒着すると、卵管の蠕動運動が妨げられ、卵の輸送障害もみられることもある。その結果、不妊症や子宮外妊娠の原因になることもあります。

2. 淋菌性咽頭炎
    これは罹患した性的パートナーとの口による性交によって伝搬します。淋菌による咽頭感染の大半には症状はありません(無症候性あるいは不顕性)。不快感があっても多くは軽微です。男性の尿道炎がオーラルセックスによって女性の咽頭炎や扁桃炎の感染源になり得ます。しかし感染部位の淋菌菌量は一般に少なく、発赤や疼痛などの炎症症状を欠くために、咽頭炎は自覚症状が無いことが多いのです。そのために、放置されることが多く、これがまた淋菌感染症の感染源になり得るのです。
淋菌の咽頭感染は5-10%にみられますが、女性の方がやや多いのです。

3. 淋菌性直腸炎
    淋菌性直腸炎は肛門性交によって感染しますが、炎症所見は激しくなく自覚症状が無いことが多いのです。女性の場合には淋菌を含む帯下が膣外に流出し、直腸や肛門へ感染が波及することもあります。直腸感染は男性の淋菌感染者、クラミジア感染者ではほとんど認められませんが、女性では淋菌・クラミジアとも約50%の感染者に確認されます。女性に直腸感染が多いのは、女性の外性器の構造が、解剖学的に男性と異なることによるものと考えられます。
 
どんな人が危ない?
危険因子には最近の淋疾患者との接触、複数の性的パートナーとの性行為、男性同性愛、口による性行為があります。発生は1,000人に3人の割合です。淋菌感染症の年齢分布は男女とも性活動の活発な若年層(10代後半から20代前半)にピークがあります。また地域性があり当然のことながら歓楽街周辺に多いのです。
 
治療は?
淋病治療の第一選択薬は、梅毒同様にいまでもペニシリンです。最近ペニシリン系抗生物質に耐性(抵抗)を有する菌が増加しているのは確かですが、やはり治療薬として最も有効と考えられるものはペニシリン系抗生物質に他なりません。このほかセフェム系抗生物質やアミノグリコシド系抗生物質なども使用されます。
なお、男性に比べて女性では一般的に淋病治療が困難であるといわれ、投薬量は男性の倍が必要であると考えられています。したがって、彼氏もしくはご主人の治療が1週間で済んだとしても、女性は1週間で良いというわけにはいかないのです。
 
予防は?
淋疾を完全に防止するには、性的接触を行わないことしかありませんが、これは実際的でなく、強制できることでもありません。でも安全な性行動によって危険性を減らすことができます。性感染症に罹患していないことがわかっているパートナー1人に性的関係を限定することが、予防法です。男性と女性両方のタイプのコンドームの使用は性病の罹患率を確実に下げますが、適切に使用することが必要です。コンドームは性的接触の最初から最後まで着用する必要があり、単一パートナー以外または疑わしい相手との性的交渉時には、毎回着用が必要です。コンドームは性病に罹患することを考えれば安価です。再感染を防ぐにはすべての性的パートナーの治療が必須です。
 
 
【2002年8月更新】
 
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