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植物性エストロゲン

最近大豆やサプリメントのなかでもイソフラボンが女性の健康にいいと注目されています。そのうたい文句は、「これらのなかに植物性エストロゲンが含まれているから」だと。ご存知ですか、植物性エストロゲンを?
 
エストロゲンとは? 
まず「エストロゲン」ってご存知でしょうか。女性の卵巣で産生される女性ホルモンの代表選手なのです。日本語では「卵胞ホルモン」と呼ばれています。このホルモンが出ていると、月経があり、妊娠もし、肌もつややかで、髪の毛も多く、張りのある乳房にするなど女性らしくする以外に、血管や骨も強くなり、脳や自律神経の働きをよくするなど健康を保ってくれるのです。
 
植物性エストロゲンって? 
そんなわけでエストロゲンは本来女性の卵巣から出ているホルモンなのです。ですが不思議なことに、天然の植物の中にこのエストロゲンと同じ作用を持つ物質があることが分かったのです。これを「植物性エストロゲンPhytoestrogen(フィト・エストロゲン)」と呼ばれているのです。
 
どうして見つかったのですか? 
アジア地域住民では、乳ガンや更年期障害が少ないことから、西洋医学の専門家が、食物の比較を行い、ようやく最近になって大豆の神秘を知るところとなりました。大豆の中に含まれている成分を詳しく調べたところ、エストロゲンに似た構造を持ち、エストロゲン作用を持つ物質を突き止め、これを植物性エストロゲンと名づけたのです。
 
植物性エストロゲンにはいくつもあるの? 
実は「植物性エストロゲン」という名前はいくつかの物質をまとめた名前、総称なのです。化学的には大きくイソフラボン類とリグナン類という2種類なのです。この中でもイソフラボン類が有名です。
 
本当に作用があるの? 
エストロゲンが作用を発揮するためには、体の細胞に受容体と呼ばれる器官がなければなりません。つまりエストロゲンが「鍵」、受容体が専用の「鍵穴」になっていて、この鍵穴(受容体)に決められた鍵(エストロゲン)が差し込まれること によって細胞は初めて命令通りに行動を起こし作用がでます。植物性エストロゲンは、女性の卵巣からできるエストロゲン、いわば動物性エストロゲン似た構造をもつために、女性の体の細胞にある鍵穴に差し込んでいけるのでエストロゲンの作用がでるのです。これは試験管内実験、動物実験、疫学的考察などにより、広く確認されています。
 
どんな作用があるのですか? 
エストロゲンが不足している状態では本来のエストロゲンに代わって植物性エストがその鍵穴(受容体)に結合して不足分を補う方向に働きますから、エストロゲンの作用がそのまま出ることになるのです。つまり更年期障害や骨粗しょう症に対する改善効果、乳ガンの予防、動脈硬化の予防、骨密度低下の抑制、尿疾禁、アルツハイマー病の予防等にも期待できる効果が認められています。逆に、エストロゲンが過剰な状態(たとえばエストロゲンが大量に分泌される排卵直前の状態)では、植物性エストロゲンは通常では本来のエストロゲンより薬理活性は弱いので、過剰に分泌された本来のエストロゲンと競合して受容体に結合しよ うとすることによって最終的なエストロゲン作用を弱める事が考えられています。つまり普通に月経がある人が大量に摂り過ぎると、逆に月経異常が起こり得るということです。
 
どんな食べ物に含まれているの? 
植物性エストロゲンの中でも代表的なイソフラボン類はマメ科植物、とくに大豆および、その製品に多く含まれています。
 
どれくらい摂ればいいのですか?
100グラムの豆腐を食べると1日に合計24 mgのイソフラボンをとることになるとされています。最適な量の目安は、1日に豆腐なら150g(半丁)、きな粉なら20g、納豆なら1パック60gです。豆腐1丁でエストロゲンとして最大0.05mg(ピル1錠分に相当)の効力が期待できるようですが、実際にはその10分の1以下とされています。
 
取りすぎるとどうなりますか? 
自然界に存在するホルモン作用物質なので、副作用はないとされていますが、全ての人に対して100%副作用がないとは言い切れません。また植物性エストロゲンは合成ホルモン剤ではないので、発癌性作用はなく、女性ホルモン剤のエストロゲンと違って、乳癌や子宮内膜癌の危険性もありません。すでに述べたように、月経のある女性が大量摂りすぎるとかえって月経異常(月経不順、無排卵など)が起こる可能性がないとはいえません。結局大豆系統の食品をやや多い目にとるのはいいですが、食品はバランスよく摂取することが大事であるという常識的結論になりそうです。
 
【2002年5月更新】
 
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