人工妊娠中絶手術
妊娠はしたけど情況によっては、どうしても赤ちゃんを諦めざるを得ない場合もあります。手術の内容などを良く知ってからどうするかを考えましょう。手術を受ける場合は、時期が早ければ早いほど母体に与える負担が軽くて済みます。
人工妊娠中絶とは?
胎児が母体外で生存できない時期に、人工的に妊娠を中断させて胎児を母体外に出すことを人工妊娠中絶といいます。胎児の発育がみられなかったり、母体内で死亡してしまって体外に出す場合は、流産または流産処置とよばれ、人工妊娠中絶とは違います。人工妊娠中絶は母体保護法という法律にのっとって行われます。人工妊娠中絶が法律的に可能なのは、妊娠21週6日までです。
どの年齢が中絶率が高いでしょうか?
最近の妊娠中絶についての厚生労働省の調査によりますと、10歳代の女性では妊娠した内の66%、つまり3人に2人が妊娠中絶をしていることになるのです。また40歳以上でも同じように3人に2人が中絶しています。ついで20歳代前半と30歳代後半では3人に1人が中絶していて、25歳から34歳までが一番中絶率が低くなっています。
(厚生省:母体保護・人口動態統計,平成10年)
中絶理由?
希望すれば誰でも自由に中絶できるものと思っている人も多いかもしれません。しかし法的にはそうではないのです。中絶を行える条件としては、
1)妊娠の維持が母体の健康に著しく悪影響を与える場合、
2)暴行など、抵抗できない状態で妊娠してしまった場合、などです。
「胎児異常」や「経済的に分娩が困難」などの理由で中絶を行うことはできません。
妊娠週数の数え方は?
妊娠週数というのは、多くの場合最後の月経の始まった日を0日として0〜6日までを妊娠0週、7〜13日を妊娠1週、というふうに満で数えていきます。10日目なら妊娠1週3日、14日目なら妊娠満2週0日といった具合です。これに対し、妊娠月のほうは数えでいきます。4週間(28日)=1ヶ月とし、妊娠0週0日〜3週6日までを妊娠1ヶ月、妊娠4週0日〜7週6日までを妊娠2ヶ月というふうに数えます。
手術前に注意することは?
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安全に手術をするためには、自分の健康状態を正直に伝えましょう。ぜんそくなどの病気の有無、出血しやすいかどうか、以前に麻酔がかかりにくかったことがないかどうか、なども伝えましょう。
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あなたの血液型を証明するものがあれば持って行きましょう。もし貴女の血液型がRh陰性であれば、次に妊娠出産する子に黄疸が強く出ることがありますから、中絶手術後に特別な処置を必要とします。血液型が分からないときは検査をしてもらいましょう。
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念のために保険証も持って行きましょう。
同意書
中絶には、相手がわからない場合や、死亡や病気、行方不明などで意志を確認できない場合を除いて、母体保護法という法律で本人と配偶者あるいは相手男性の両方が署名・捺印した同意書が必要です。未成年でも本人と相手の同意だけでいいのですが、保護者の同意を求める病院もあります。同意書の基本的な内容は以下のようなものです。
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同 意 書
母体保護法第14条による人工妊娠中絶を行うことに同意いたします。
なお、当該手術にかかる以後の経過については一切苦情を申しません。
平成 年 月 日
本人
住所、
電話番号、
署名・ 印
配偶者またはセックスパートナー
住所、
電話番号、
署名・ 印
緊急連絡先
名前、
電話番号、
○×婦人科院長 ○○ △△ 殿
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中絶手術の実際
(1) 妊娠初期(11週頃まで)
胎児はまだ小さいため、子宮の出入口を人工的に開いて、中の胎児や胎盤を吸い出します。お産の経験のない方では子宮の入り口が硬いため、前日にラミナリア桿というものを子宮口に入れて(所要時間は1−2分)、ゆっくり開く処置をすると安全に手術ができます。手術は外来通院ででき、通常半日ほどで帰宅できるますが、病院によっては入院が必要なところがあります。手術は通常静脈麻酔で行うことが多く、所要時間はだいたい5分くらいです。当院では行っております。
(2) 妊娠中期( 12週以降21週未満 )
胎児が大きくなってきているため、機械的に子宮口を開いただけでは胎児を母体外に出すことはできないことが多いのです。陣痛をつけて、お産をするのと同様な形で胎児を分娩します。前日にラミナリア桿で子宮の入り口を広げ、翌日にプレグランディ ン という、子宮を収縮させる座薬を、3時間毎に膣に入れます。子宮を収縮させるような点滴をすることもあります。中絶後は、病院が発行する死産証書とともに、役所に死産届を提出します。死産届を提出すると埋葬許可証が発行されます。これがないと胎児の埋葬ができません。この場合、戸籍などに「流産・死産した」「中絶した」という記載が載ることはありません。当院では行っておりませんが、診察の上安心できる病院をご紹介しています。
手術当日の注意
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静脈麻酔をするので、必ず朝から絶飲・絶食しましょう。
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帰宅するときの運転は危険ですので、車を運転していくのは止めましょう。
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当日は体を締め付けるような服装は止めましょう。
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当日は化粧やマニキュアはしないようにしましょう。
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持って行くものは、生理用ショーツ、大きめの生理用ナプキンです。
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術後は体が不安定ですので、付き添いの人に来てもらいましょう。
手術後の生活
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手術後1週間はできる限り無理をしないようにし、陰部は常に清潔に保つようにしましょう。無理をすると回復が遅れたり、子宮内膜炎や卵管炎などを起こす可能性もあります。
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処方された薬をきちんと飲んで、ゆっくり身体を休めましょう。
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術後、順調に回復しているかどうかを診るため検診がありますので、指定された日に必ず病院に行きましょう。
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出血が長引いたり、発熱、下腹部痛などの症状がある場合は、検診の日まで待たずに、なるべく早く医師の診察を受けるようにしましょう。
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医師の許可が出るまでは、セックスやスポーツは禁止です(通常は10日から2週 間)。
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手術後の月経は1ヶ月〜1ヶ月半ほどで来ます。 月経が来る前に排卵がありますから、避妊を怠ると、次の生理を待たずに再び妊娠してしまうということもありますので、くれ ぐれも気をつけるようにしましょう。
人工妊娠中絶の副作用
(1)
妊娠子宮はとても柔らかいものです。中絶手術は、子宮の中の胎児や付属物を、手探りで掻き出すか吸い出す処置です。そのため、ときに子宮に穴があくことがあります。この場合は、入院して安静にし、抗生物質の点滴などを行うことでふさがることが多いですが、穴が大きい場合などは開腹手術が必要になることがあります。
(2)
子宮の位置や収縮の状態によっては内容が一部残ってしまうこともあり、再処置が必要になる場合もあります。
(3)
子宮の中や卵管に細菌感染をおこし、炎症で癒着が起こることがあり、中絶後の慢性の下腹痛や、不妊症、子宮外妊娠の原因となることがあります。
(4)
妊娠中期の中絶では、陣痛に伴って、子宮破裂(子宮の筋肉が破れる)をおこすことがあります。この場合は、ただちに開腹手術が必要になります。
費用は?
中絶手術は自費診療です。病院や妊娠週数によって異なりますので、前もって病院に確かめましょう。また費用は、手術費だけなのか、前後の処置や診察を含んでいるのかも確認しておきましょう。妊娠11週くらいまでだと7〜15万円くらいかかります。13週以降になると手術に伴うリスクも費用も高くなり、20〜30万円くらいかかってしまいます。
今後のために
今後も望まない妊娠を避けるために、望まれない子を産まないためにも、避妊には十分気をつけましょう。最も確実な避妊法であるピルについて担当の医師に相談しましょう。また避妊に失敗したときなどのためにも「緊急避妊法、性交後避妊薬、モーニングアフターピル」(このホームページにもあります)についても事前に知っておきましょう。
【2002年4月更新】
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