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バルトリン腺膿瘍

セックスをするときに外陰部が潤わないと痛いだけでセックスがスムーズにできません。スムーズにセックスができるように自然と潤ってきますが、どこから、なにが出てきているのでしょう? またそれが具合悪くなるとセックスができなくなるなんて考えたことがありますか?
 
潤いは何?どこから? 
セックスがスムーズに行えるために外陰部に粘液が増えてきます。これは膣の入り口の左右両側の小陰唇の下端(つまりの膣の入り口の下の方)の皮下にあるバルトリン腺から出ているのです。バルトリン腺は時計にたとえれば膣の入り口の5時と7時の位置にあり、スポイトのような袋で、ふだんは手指で触ってもどこにあるかわからな いものです。粘液は透明で、普段からも少しは出ているのですが、性的に興奮すると粘液の分泌量が増え、潤うあるいは濡れて潤滑油となるのです。
 
どんな年齢でも? 
バルトリン腺が活発に働き、分泌機能を発揮するのは、性成熟期になってからのことなのです。したがって少女や高齢の女性では分泌液の量は少ないのです。
 
どんな病気になるの? 
バルトリン腺の病気には、バルトリン腺炎(せんえん)、バルトリン腺嚢胞(せんのうほう)、バルトリン腺膿瘍(せんのうよう)、バルトリン腺腫瘍(せんしゅよう)がありますが、腫瘍はきわめて少なく、ほとんどみられません。
 
バルトリン腺炎とは? 
バルトリン腺の入り口から細菌が侵入し、腺の中に感染をおこしたものが、バルトリン腺炎です。小陰唇外側、ときに大陰唇にまで発赤、腫脹(はれること)がみられ、疼痛を伴います。感染の原因となる細菌の種類は、淋菌(りんきん)、大腸菌のほかさまざまなものがありますが、多くは一般的な化膿菌です。
 
バルトリン腺嚢胞とは? 
炎症が治って、腺の入り口の閉鎖がおこると、腺から外に分泌される粘液がたまり 、腺が拡大して嚢胞を形成します。これをバルトリン腺嚢胞といいます。多くは片側だけで、小さいときには気がつかないこともありますが、次第に大きくなってクルミ大ないし鶏卵大などさまざまな大きさとなり、紙でふいたときに手に触れるようになってきます。腟の入り口の横、小陰唇下端に、丸いものが触知されます。感染を伴っていなければ無痛性のことも多く、また自然に排泄管が再開口して、内容物が流れ出して縮小してしまうこともあります。
 
バルトリン腺膿瘍とは? 
バルトリン腺嚢胞内に感染がおきると、膿瘍を形成します。発赤、腫脹、疼痛がはっきりしてきて、膿瘍全体に圧痛を認めます。さらにひどくなると、大陰唇も膨張して腫瘤(しゅりゅう)を形成し、性交障害はもちろん、歩行さえ困難となることがあります。
 
治療は? 
効果的に治療するためには、検査によって炎症を起こした細菌を特定するのがよいのですが、検査の結果がでる前に抗生剤の投与をはじめてしまうほうが実際的です。バルトリン腺炎の段階では、抗生剤の投与だけで症状がおさまることが多いのです。バルトリン腺膿瘍を形成し、疼痛が強い場合には、局所麻酔をして、切開排膿する以外に治療法はありませんが、排膿しただけで疼痛は急に軽くなるものです。小さいものはそのままにしておいても差し支えありませんが、あまり大きいものや繰り返す場合は、摘出手術が必要です。
 
注意することは? 
膣や外陰部に細菌が多い状態では、バルトリン腺内に感染がおきやすいのですから、清潔にすること以外には方法はありません。また膣の横が腫れたり(ほとんど片方ですが)、痛いときには早めに受診しましょう。これは悪性であることはほとんどありませんので心配はいりません。
 
 
【2002年3月更新】
 
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