「抗リン脂質抗体症候群と妊娠 」
3回以上連続して自然流産する習慣流産のうち10%前後に抗リン脂質抗体症候群がみられます。抗リン脂質抗体症候群とは何なのでしょう
妊娠と血液凝固
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妊娠中は、妊娠していないときに比べて血液凝固系が亢進しています
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つまり妊娠中は血液が固まりやすくなっています
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これは分娩時に大量出血を防ぐための変化と考えられています
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血液中の止血のためのさまざまな因子が増加し、機能的に活性化された総合的な結果でしょう
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そのために妊娠中の静脈血栓症のリスクは、妊娠していないときに比べて6倍程度高いといわれています
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妊娠していないときに血栓症素因(血液が固まりやすい傾向)はあるが症状がない女性でも、妊娠すると血液凝固系の異常によるさまざまなトラブルが生じる可能性が高くなります
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これらのトラブル・異常のピークは分娩時です
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分娩後3週間で血液凝固系は正常に戻るとされています
抗リン脂質抗体症候群とは
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リン脂質とは、細胞の一番外の細胞膜を構成する重要な成分で、リン酸を持つ脂質です
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本来個体の構成成分に対しては抗体(元は個体外からの侵入物に対してでき襲って無力化するもの)はできません。なぜできるのか分かっていませんが自分の構成成分に対する抗体ができます。これを自己抗体と呼ばれています
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ヒトの身体の細胞の構成成分であるリン脂質に対する自己抗体(抗リン脂質抗体)ができ、これが血液を凝固させ血栓ができてさまざまな症状を起こすのです
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これを抗リン脂質抗体症候群と呼んでいます
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本来個体外からの異物を排除するためのシステム(免疫系)が、自分自身の正常な組織や細胞に攻撃を加えてしまう、いわば自己免疫疾患です
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全身の血液が固まりやすくなり、血栓を繰り返す病気で、脳梗塞・心筋梗塞や習慣流産を起こします
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妊娠とは無関係にも起こりますが、妊娠をきっかけに起こることも多いです
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妊娠が進むにつれて胎児へ血液・栄養を送っている子宮や胎盤の血管には血液凝固因子が増えているのが普通です
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そこに抗リン脂質抗体が反応すると、血栓ができやすく、血液の流れが悪くなるか止まり、胎児の成長が悪くなるか、成長できなくなり死亡する、を起こすことになります
診断は
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血液中の抗リン脂質抗体と血液凝固能を調べます
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抗リン脂質抗体の検査としては、
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ループスアンチコアグラント
A
抗カルジオリピン抗体
B
抗リン脂質抗体
の3つがあります
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これらの項目の一つ以上が12週以上の間隔をあけて2回以上陽性であれば、「抗リン脂質抗体症候群」と診断します
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内科領域とは別に婦人科領域では、以下の条件であてはまるのを「抗リン脂質抗体症候群」としています
1、
上記の抗リン脂質抗体検査でいずれかが陽性で
2、
(1)
3回以上連続して自然流産の場合
(2)
習慣流産でなくても、次のいずれかに相当する場合
@
臨床的血栓症にかかったことがある
A
妊娠10週以降の胎児死亡がある
B
妊娠高血圧腎症重症、子癇または胎盤機能不全による妊娠34週以前の早産がある
治療は
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血液中の凝固能が亢進している状態で血栓ができやすい状態ですので、血液凝固能
を弱めたり、血栓ができないように薬を使います
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具体的には低用量アスピリン、ヘパリン、副腎皮質ホルモンなど様々な治療が試みられています
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最近の研究調査結果で、これらの治療の中で産科領域の習慣流産など「抗リン脂質抗体症候群」に有効な治療は、
(1)
低用量アスピリン(1日 75〜100mg)を服用
(2)
低用量アスピリン(1日 75〜100mg)と
ヘパリン(1日 5,000〜10,000単位)の注射を併用
のどちらかだとされています
(「産婦人科診療ガイドライン、産科編2008」、日本産科婦人科学会・医会編集、を参考にしました)
【2011年11月更新】
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